皇紀弐阡八百六拾弐五月壱拾壱日
続き。
本日は午後九時の帰宅予定であった。が、午前一〇時には自宅に戻っていたのであった。何故か―伊勢にたどり着けなかったからであった。
何故か―ICカードで新幹線に乗換ようとして、改札口を通ろうとしたら、赤ランプが点滅。あれゝ?すぐに若い駅員さんがやって来て、此れは登録されているのと違うカードではありませんか?と訊ねてくる。いや、そんなことはないはずだけど。では、スマホで確認して下さい―が、此方ガラケーである。其れでも、時間がない中、ガラケーでネットに繋いで調べてみる。が、繋がりが悪すぎて噺にならない。此のままだと、新幹線が此処へ来て出発した時点で、指定席分は引き落とされて、払い戻しは出来なくなります―と云われたが、施しようがない。
名古屋まで今日は新幹線で往復する予定なのだ。さらに彼是対処方を聴いてみる。
此の時点で、伊勢行きはほぼ諦めていた。
まずカードのスイカであるが、これは四月に古くなったのを新しく発行し直して貰った。すぐに、ネットを使って登録番号の変更を行った。さらに紐づけされた銀行のカードも、ひと月前ハッキング未遂に会い、新しいカードに替え、すぐに登録を行った。すべて此の日のためである。
が、自動改札機で撥ねられた。理由は不明。若い駅員さんは親身になって対応してくれた。もっといい方法がないか、調べて来ますと云って、一旦事務所に下がり、数分して戻ってきた。紙切れを渡され、パソコンで登録の情報をもう一度確認して下さい。それから、この紙を新幹線の駅に持って行けば、全額払い戻し出来ます。但し、手数料が各三二〇円かかります ―「どうも有難う、助かりました」
再び、空いたJRに乗って引き返すことに。
落胆と困惑の混じった妙な気分だった。此の日のために準備していた諸ゝのことが、すべて無駄になった。昼と夜の分の握り飯もだ。
いや、明日があるだろう―と自らを鼓舞するが、さっぱり気が乗らない。家に帰れば、気分も変ろう―そう思って、自宅に戻って、早速パソコンから登録情報をチェック。
或いは銀行のカードの情報を更新していなかったのかもしれない―と思っていたのだが、実はスイカの情報が古いカードの番号になっていた。あれ?記憶違いか―半ば苦笑しながら、新しい番号に書き換える。此れで問題解決―一安心したが、明日の新幹線の空席等を調べようとして、再度ログインすると、何故かスイカの番号が古いものに戻っているのである。同じことを三回くり返したが、駄目である。
原因をネットで検索。其処で初めて、カード番号を記入して、OKボタンをクリックするのだが、実は其の後にも、変更を決定するOKボタンが表示されるのだ。が、此方のパソコンの何処にもない。困った。ちょっとこんがらがってきたので、電話で問い合わせてみる。
女性の担当者に事情を説明。で、もう一度ログインからやり直していく。矢張り最後のOKボタンがない。担当者も不思議がる。「ひょっとして、其れはエクスプローラーで開かれていますか」と云うので、「いや、ファイヤーフォックスですけど」「では、エクスプローラーでやってみて下さい」「グーグルでもいいかな?」「いいです。大丈夫だと思います」「有難う。やってみます」
で、やってみた。OKボタンが出てきた。解決した。
明日、明後日、行けないことはない。が、天気予報を見ると、今度こそ雨一〇〇%と表示されている。今日なら、どんな雨だろうと向かう気持ちになっていたが、今となっては其の意欲が湧いてこない。
もう一つ。弁当と水。さらにファイヤーHD、雨具、薄手の防水ジャケットを詰めたリュックはナカナカに重かった。
昼飯を近鉄の中で食べるにしても、月夜見宮でご寄進すれば、神饌を頂いて、其れを背負って外宮、内宮、猿田彦神社、月讀宮を回らなければならない―出来ないこたあないだろう。そう、今日なら何が何でも遣り遂げただろう。が、今、そう云う意欲は見つからない。
★
こんな日は突然与えられた滅多にない休日のようなものだ―と云うことにして、好き勝手しよう。
家の周りの雑草が元気だ。此れから草むしりだ。全然、好きじゃないけどな。
そして《おんなキャビンクルー【魔婬】》サードステージを執筆していく。此れは好きだ。
さっきは餃子の皮を仕込んだ。此れも嫌いじゃない。
草むしりしたら汗を掻くだろう。シャワーを浴びたら、ビールを飲もう。すべてのことに感謝しながら。
お伊勢参りは一〇月に延期したようだ。
惟神霊幸倍坐世
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