由紀かほる「憂国記」

日記もどき 最新作の情報等ゝ

七時過ぎ、庭に通じる雨戸を閉めようと、サッシのガラス戸を明けた。深い藍色の空には、月が煌ゝと赫いていた。まるで「また来いよ」と、咲っているように見えた

    皇紀弐阡八百六拾弐五月壱拾参日

 七時起床。ヨガもどき。

 酵素玄米。豆腐韮生姜味噌汁。大根おろし縮緬

《おんなキャビンクルー【魔婬】》サードステージを今日も書き進める。

 たどり着けなかったお伊勢参り其の後。

 昨日、JRの新幹線の止る駅まで再び出掛ける。駅員さんから貰った払戻の紙切れは一年間有効とあるが、ま、早い方がいい。天気予報は金曜日から烈しい雨と云っているし。

 切符売場へ行く。然程混んではいなかった。

    すぐに噺が通じると思ったが、そうではなかった。昨日の状況を改めて説明。窓口の人では判らずに、黒っぽい制服姿の三〇代と思しき人に相談して、彼是を調べ始める。登録のID番号を聴かれるが、ガラケーの悲しさで、駄目なのだ。と思って、ふとファイヤーHDなら、と思ってメールを開く。接続からやり直さなくてはならない。其処でパスワードを訊ねられるが、すぐには思い出せない。携帯のメモを開いて調べてみたが、見当たらない。

   と思ったら、JRの番号がメモしてあった。担当者二人は壁の奥に入って戻って来ない。其のうちに、背後には五、六人の客が並び出している。窓口は三つだが、混んできたらしい。マジーな、と思って、隣の窓口の担当者の手が空いた隙を見て、ID番号が判ったと伝えて欲しいと頼む。立上って、壁の向こうに声を掛けたら、どうやら此方の名前から割り出せたようだ。さらに待つ。ようやく二人が来て、払戻を電話で依頼するように云われる。其の番号は昨日、登録出来ずに問い合わせた番号だと判る。

「此方から説明しておいたので、すぐに判ると思います」

 親切なニーチャンであった。で、引き返す。

此れだけで二〇分を費やした。

 行き帰りとも、運良く快速に乗れた。空は雨が降ったり止んだり。自然食品の店に貌を出し、彼是買い、スーパーに寄って帰宅。午後二時過ぎだ。早速、スマートEXの番号に掛けてみる。

 女性の担当者にまた同様の説明をする。

「もう払戻はお済みになったんでしょうか」

「いえ、未だですよ」

「ちょっと調べてみますので、お待ち下さい」

 と云われ、待つ。数分待つ。因みに二〇秒一〇円の料金である。やがて、繋がる。

「今回の駅での対応は本来は行わないものです。本来は此方に連絡を頂いて、手続きはすべて此処からするシステムになっております。ですので、次回からは―」云ゝ。

 つまり、一昨日の新幹線乗場での駅員の対応は間違っていたらしいのだ。本来は其のまま自宅へ戻り、電話で対応を申し込むことで、払戻が可能だったのである。わざわざ二日続けて新幹線乗場まで出掛ける必要はなかったのだ―

 妙な気分だった。あのときの駅員さんの対応は、此方には有難かった。アドヴァイスを貰わなければ、さらに困惑していたことだろう。気持ちはお伊勢参りに行けるか、行けないかのギリギリの状態にあった。駅員さんとしては精一杯の対応をしてくれたと思うし。また此方としても、其れに従ったのは、矢張り已むを得ない選択だった―と思っている。

 数分後、払戻が完了したと云うメールが届いた。

 余談を二つ。一昨日、仕事場にいる身内に電話で、此の顛末を報告した。身内は其の日、一〇年来の知人が、二年前、隣町で美容室を開業したので、初めてカットに行く予定になっていた。処が、知人の父親が亡くなり、お通夜に行くので、美容室へは行けなくなってしまった―

 夜、手作り餃子の皮で餃子を灼いて、ビールを飲んだ。七時過ぎ、庭に通じる雨戸を閉めようと、サッシのガラス戸を明けた。深い藍色の空には、月が煌ゝと赫いていた。まるで、

「また来いよ」

 と、咲っているように見えた。

 本日も執筆出来たことに感謝

 惟神霊幸倍坐世

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