由紀かほる「憂国記」

日記もどき 最新作の情報等ゝ

マスクゾンビは即ち、ショット済の証明書だから、まあ、此方が近づかねえこったな―ずっと着け続けていて欲しいと、心から願ふ、この頃―

 皇紀弐阡八百六拾参年七月参拾壱日

 七時起床。ヨガ。

 玄米朝食。

 ミラー《サクセス》読了―今日、あとがき、月報に眼を通す―此れは《薔薇色の十字架》三部作の第一作に当る―ミラーは全巻を書き上げてから出版を望んだが、パリの出版社の要望で《サクセス》を先行販売したらしい―《北回帰線》《南回帰線》での成功があったから、出版社側も売れると判断したのだろふ―とは云え、此の時、アメリカでは未だ食指を動かした出版社はいなかった、と云ふ咲えない現実もあった―

 執筆が1942、3年頃で、45年に出版―アメリカで出たのは1960年代に入ってからだった―

 あとがきに拠れば、此れは三部作であるから、《サクセス》だけを読んだ時点で、評価は下すのは早計なのだそうだ―そうかもしれない―《サクセス》に限って云えば、後半になって、ようやくミラー自身がスタイルを摑みかけてきた印象である―元ゝ、ダダ、シュルレアリスムを通り抜け、或はアナーキーを念頭に置いて書いた作品だと思われるし、其れが謂わば狙いだったのだろふが、執筆から八拾年以上経過した今読めば、其の手法に特に驚くものはない―

 寧ろ、プロットを無視した形よりも、後半の極めてノーマルな描写や、物語の進行の方が、ずっと読みやすく、纏った印象である―

 月報では別の著名な訳者が、ミラーがアメリカで評価されて以降、新たな作家が次ゝと世に出て、隆盛を極めたと書いている―当時はそうだったのだろふ―が、其の後、文学がどう云ふ末路を辿ったかは、既に應えが出ていよふ―何もアメリカだけではない、特にヨーロッパ等では、60年代中盤から70年代と、衰弱と貧困の袋小路に陥ったのを、我ゝは知っている―一時、第三世界の文学が脚光を浴びたのも、其のことと無縁ではあるまひ―

 昨日は以前棲んでいた街で花火大会―昨年、出掛けて、其の人混みにウンザリ―今年は、誘われたがスルー、家で《ルイス警部》の録画を、ワインを飲みながら鑑賞―多分、参度は観ているが、飽きないのは、ストーリーが込み入っていて、名前が覚えられなくて・・・だから、何度でも観られると云ふ寸法―

 花火の音が炸裂しているので、窓を覘いたら、一部が見えた―何故、アレだけの混雑の中、そんなに花火が観たいのかしらん―多分、タダだからではないか、ヴァクシンがそうだったように―

 今日は雨模様―午後から雨が上がり、久しぶりに冷房を切って、窓を開ける―

 其の隙に、買物へ行くが、未だいる、未だ未だいる、マスクゾンビ―暑苦しそうなのに、何の苦行であろふ―何より、見た眼に汚らしいんだけど―マスクゾンビは即ち、ショット済の証明書だから、まあ、此方が近づかねえこったな―ずっと着け続けていて欲しいと、心から願ふ、この頃―

 明日は朔日と云ふことで、参拝へ早朝から出掛けることに―朝、五時半起きか―とっとと酒喰らって寝よふ―

 本日も読書出来たことに感謝

 惟神霊幸倍坐世

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