由紀かほる「憂国記」

日記もどき 最新作の情報等ゝ

音楽は謂わば食事のようなものであって、其れ無しには仕事も読書もままならぬ―だから、此れまで妥協してこなかった―其れがPCを活用することになった頃から、お手軽な方へ傾いていってしまったのだ

    皇紀弐阡八百六拾参年弐弐拾四

 起床。ヨガ。

 酵素米朝食。

 異常な低温が続く―其れでも、今日はようやくお天道様が貌を出して、少しばかり気持ちも晴れる―

 今回の帰省では、まず確定申告、そして何時も通り、要らない本等の処分が当面の目標だった―もう一つ、此方に置いたまま暫く使っていなかったオーディオの一部だけでも、北の仕事場に移動しようと考えたのだった―取り敢えず、ラックスマンのコントロールアンプに、パイオニアパワーアンプ、そしてヘッドアンプである―かつて、執筆の際にすぐ左脇にあって、恒に活躍していた代物―実はオーディオルーム兼寝室には、マッキントッシュ等の管球アンプが揃っているのだが、此方も何れ移動になるだろふ―当時は未だ、原稿用紙に万年筆で執筆を行っていたのを思い出す―

 昨日の夕方、自作の木のラックから取出してみた―と、底には此れでもかと云ふほどの埃が溜まっていた―掃除機で吸い取って、取り敢えずラックスマンだけを、二階にある仕事部屋から一階へと下ろしておいた―

 今日はパワーアンプである―北の仕事部屋に送るにしても、まずは生きているかを調べなくてはならない―

 甘く見ていた訳ではない―が、パワーアンプの重量にやられてしまった―後で測ったら二〇キロあった―かつてなら、然程ではなかったろうが、今となっては流石にキツい―買った当時、未だ辛うじてオーディオに金を掛ける風潮が一部には残っていた―雑誌を見て、秋葉原まで買いに行ったのを覚えている―其処の店員は、パイオニアとしても久しぶりに力を入れて作ったアンプです、とか何とか云っていた―で、未だオーディオ入門者だった此方は、コントロールアンプとパワーアンプを揃って買ったのだった―音は派手であるが、ま、後に揃えたマッキントッシュとは比べ物にならないのは仕方ないだろふ―で、其の後、偶ゝ、ラックスマンと交換して欲しいと云ふ人が顕れて―後は省略―

 一応、ゆうパックは二五㌔まで受け付けてくれるから、郵送は可能である―が、既に一階まで下ろした時点で、アンプをパソコンに繋ぎ、音をチェックし、段ボールに厳重に梱包して郵送し、さらに北の仕事場の玄関で受取り、其れを二階へ運び上げ、ラックに入れて配線を行ふ―と云ふ工程を想像しただけで、かなり萎えてしまった―

 取り敢えず、珈琲でも飲んで、今、こうして駄文を綴っているのである―

 扨、少し休憩して、取り敢えず状態を調べてみる―結果、ラックスマンがイケない―調整でどうにかなればいいが、果たして―其れでもパイオニアパワーアンプは健在だった―コントロールアンプ無しでも遣えるのを忘れていた―パソコンから直結して、ショボいオンキョーの小型スピーカーで鳴らすと、それまでとは次元の違う音が出てきた―音の輪郭が諒かに太い、厚みがある、安っぽいPCの音がようやくまともになって聴こえてきた―忘れていた世界だった―二〇キロは伊達ではないのだ―因みに、普段はマランツの安物のアンプだった―こうなると、後へは引けない―もう一度、音の世界に還ってみよふかしらん―

 ようやくの晴れなので、買物へ―まずは初めから予定していたヨドバシへ―仕事場のPCも普段、アンプに繋いで外部スピーカーで鳴らしているのだが、此の処、音が途切れる―どうやらケーブルが原因らしい―で、早速店員さんにRCAの3.5のステレオミニプラグの場所を訊ねる―安いのと、グレードの高いのがありますと聴き、暫し思案―今日、此方のPCのアンプ交換で、驚くほどの音の違いに改めて眼を見開かれたばかりである―此処は妥協してはならないと、北の仕事場用と合せて、価格の高い方を二つ購入―

 帰宅後、早速付け替えてみる―驚いた―音の密度も太さも違ふ、低音がしっかりと出ている―今まで如何に貧相で、痩せた音質を聴かされていたかが判る―

 オーディオの音の良さの違いがもっとも出るのが、レコードの場合、カートリッジとスピーカーと云われている―其れは事実である―其れを鳴らすアンプが続くのであるが、矢張りケーブルも侮れないことを、改めて実感―

 音楽は謂わば食事のようなものであって、其れ無しには仕事も読書もままならぬ―だから、此れまで妥協してこなかった―其れがPCを活用することになった頃から、お手軽な方へ傾いていってしまったのだ―

 夕方、オーディオルームを確認してみて、アレ?と―手放したと思ったパイオニアの揃いのコントロールアンプが未だあった―そうだった、トランジスタのマッキンのパワーアンプを、以前、ライブバーで使っていたときに、こいつを活用していたのだ、と思い出す―現役かどうかは、明日にでも調べてみるが―

 問題は此方のPCである―此処で真っ当な音を鳴らしてしまった以上、あっさりと前には戻れない―もう消えてしまったと思っていた厄介なマニア魂が、尚生きていたらしい―ラックスマンを再生させられるかどうかが鍵だろふ―

 本日も執筆出来たことに感謝

 惟神霊幸倍坐世

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