由紀かほる「憂国記」

日記もどき 最新作の情報等ゝ

本棚を眺めていたら自作本が眼に止る―「タイト・ミニの令獣【美人編集長】《肉魔の性奴狩り》其の奥付に、SMスピリッツ平成5年5月号~10月号《タイト・ミニの令獣》で連載。その後加筆完成―とあった

 皇紀弐阡八百六拾参年四月壱拾日

 七時起床。ヨガ。

《美人編集長・性奴狩り》昨日、アップデート終了―さらに、懸案だったエンディングも加筆―結果から云えば、当初のアイデアの通り本作を《女神たちの黄昏》に繋がるエピソードと云う形にしておいた―飽く迄、枝葉であるので、《女神》のような作風でもないし、内容が重なる部分もほぼない―別の作品と捉えて貰えれば有難ひ―

 昨日、外階段のペンキ塗りを行う―昨年、秋から気になっていたが、天候などの問題もあり、半年も伸びてしまった―始めるまでは、かなり億劫ではあるが、こう云ふ作業は嫌ひではない―脚立が小さくて、総て塗り終えることが出来なかったが、今日には何とかなりそうだ―何なら、階段の裏側なので、来月でも問題ないだろふ―

 昨日はペンキ塗りの後、気温18℃と云ふので、御召で買物へ出掛ける―と、其の途中、狭い裏道を歩いていると、正面から六拾前後と思われる漢が歩いてきた―カレは俄に歩調を緩めて、此方を驚きの表情で見つめてきた―着物姿に驚いたのかと思ったが、どうも其の眼差しには別の、何処か親しみの色合いがあった―もしや、知人か?―そう思って、貌を見返したが、誰だか不明である―

 其処は卒業した中学校のすぐ近くである―が、其の貌からは應えは出てこなかった―其れでも、一応、眼が合ったので、目礼を返した―声を掛けて来るかと思ったが、カレは不意に諦めた表情のまま、無言で通り過ぎていった―

 誰だろうか―買物の帰り、また昨夜も寝ながら考えてみた―思い当たるのは小中学校が同じ、仲の良かったYクンである―カレの実家は其の近くである―が、イメージが違ふ―カレの特徴は黒いたっぷりした髪に、黒くて濃い睫毛にあった―すれ違った漢は、白髪雑りで短髪だったし、何よりもトレード・マークのような睫毛は、極普通、いや、ほとんど判らないほどに消えていた―

 ま、既にアレから数十年だ―お互いに外観が変っても不思議はない―とは云え、相手が此方を、驚いてまじまじと見つめてきたのは、未だ面影が残っていたからだろふ―しかし、カレには残っていなかった、ほとんど―

 と、そんなことを考えて、今朝方ふと気づいた―あのカレの、未だ若さを残しつつ、実際風体は未だ若かったし、出立もそうなのに、妙に老けた様子―眼が何処か白っぽく潤み、肌がカサカサになったあの佇まい―そう云ふ知人を此の弐年の間に、何人も見た―以前は見なかった類の、そう云ふ人ゝを見た―

 打ったな―

 今日も、昼前に作業着に着替えて、ペンキ塗り―今日は階段の裏側―思った以上に錆びている―ゴリゴリと剥がれた塗装を落として、白ペンキを塗っていく―飽く迄応急処置―それを繰り返して壱拾年にはなるだろふか―弐年乃至参年に一度、剥がれた箇所を補修してきたが、次はあるだろふか―

 生まれて四ヶ月で住み着いた場所―家屋は参拾数年前に建て替えた―当時、六拾年は持つと云ふ触れ込みだったが、確かに建物自体は未だ未だ丈夫だ―が、外装などには其れなりの金が掛かる―数年後には塗装をし直す必要があるだろふ―

 等と考えつつ、又、階段を塗りながら、そろそろ踏ん切りを着ける時期が近づいたのを、改めて実感する―此れも所謂、断捨離か?―で、其の先は?―

 出雲か―知事、どうにか変ってくれ―と思ってたら、再選されたな。何時までやるつもりか、4年間、マスクゾンビを養成するつもりかな?

 昼過ぎ、残りの部分を塗る―脚立の上り下りを含めて、慣れない態勢での作業で、やっぱ疲れる―裏のステンレスで出来た部分は、今回は諦める―普通のペイントでは塗れないのではないか―

 着物ネタ―彼是とネットを見ていたら、ポリエステルの羽織等が、廉価で売っている―今のポリエステルは進化して、安っぽくは見えない、下手な正絹よりも良い等と云ふ謳い文句に釣られて、調べてみる―確かに、洗濯等は楽だろふ―とは云ふものの、オーダーでならいざ知らず、リサイクル系のモノなら、正絹でもかなり安い―但し、長着同様に色はかなり限定されている―洒落た色のモノは、矢張り其れなりの価格設定―

 で、結局今はスルー―デニムのときもそうだったが、今、其れを急いで買わなくてもいいだろふと云ふ思いが勁い―

 それに、正絹の冬の暖かさは実に有難かった―実は絹は夏場も涼しいらしい―勿論、袷では無理にしても、盛夏以外は未だ未だ愉しめそうだ―特に北の国では―

 長着の着丈の噺―何度も書いているが、ほとんどの店が着丈を、身長のマイナス25位に設定しているが、此れでは此方の場合は合わない―短い―先日の呉服屋の店員さんにも彼是訊ねてみた―

 着丈は自分の好みでいい、但し、朝着たときちょうどいいと思っていても、仕事で動き、坐ったり立ったりを繰り返しているうちに、自然と裾は上ってくる―

 と云ふ噺だった―なるほど、其れは実感として判る―

 どこかのショップでは、着丈が身長に対してやや短い設定になっているのは、昔は長着の上に袴を履いたためだ―と書いてあった―其れは判る―判るが、普段袴など履く機会は滅多にない―晴れの日なら着けてもいいが、普段敢えて着けようとも思わない―

 好天で、暑くもなく、寒くもなく、さほど風も勁くない―こんな日は、陽の高いうちから、ビールなんかをやりたい―昨日で仕事も一区切りついた処だし―

 まずは、着流しでぶらぶらしてこよう―

 先ほど、久しぶりに本棚を眺めていたら自作本が眼に止る―「タイト・ミニの令獣【美人編集長】《肉魔の性奴狩り》其の奥付に、

 SMスピリッツ平成5年5月号~10月号《タイト・ミニの令獣》で連載。その後加筆完成―

 とあった。

 すっかり忘れていた。

 此のシリーズでは他に2冊出して、いずれもワイレア出版で装丁とタイトルを変更して再販している―いずれ手を着けることになりそうだ―

 本日も執筆出来たことに感謝。

 惟神霊幸倍坐世